インデックス投資だけで億万長者になれるか
- 2019.10.27
- 投資全般

※2019/10/28に更新しました。
こんにちは。10月も下旬になり、すっかり秋らしくなりました。
これまでの記事で、インデックス投資や複利運用について解説してきましたが、
「実際にお金持ちになれるのか」
「机上の空論ではないのか」
と疑問に思われるかもしれません。
そこで、ドルコスト平均法(定額積立法)によるインデックス投資だけで、普通のサラリーマンでもお金持ち(億万長者)になることは可能なのか考えてみます。
お金持ちの定義:資産1億円以上
どの程度の資産があればお金持ちかということですが、
お金持ち=1億円以上の金融資産がある
ということにしましょう。
億万長者という言葉もありますし、英語のミリオネアも100万ドルとすれば約1億円です。
ちなみに、野村総合研究所による2017年の推計によると、日本の世帯ごとの金融資産額は以下のような分布になっています。

すなわち、富裕層以上がお金持ちということになります。
この分布をパーセンテージで表すと以下の数字になります。
- 超富裕層:0.16%
- 富裕層:2.2%
- 準富裕層:6.0%
- アッパーマス層:13.4%
- マス層:78.2%
すると、日本のお金持ちの割合は約2.4%(超富裕層+富裕層)ということになります。
かなり少ない割合ですね。
どの指数に投資すべきか:アメリカ株のインデックスが有力
世界中にはたくさんの株価指数がありますが、有名どころで検討します。
以下の3種類に投資した場合について、過去のデータにあてはめた結果をそれぞれチェックしましょう。
- NYダウ
- S&P500
- 日経平均
投資信託を毎月5万円ドルコスト平均法で購入するイメージでお考えください。
具体的には以下の条件で計算しています。
[投資条件]
- 投資期間:35年間(1985年1月~2019年10月)*1
- 購入方法:ドルコスト平均法(定額購入法)にて毎月1日に円建てで購入したものとする。*2
- 購入金額:
[パターンA] 毎月5万円
[パターンB] 毎月X万円(30年間で1億円を達成する最低金額) - ドル建て資産(NYダウ、S&P500)については、該当月(1日)のレートで円建てに変換する。
- 分配金は発生しないものとし、指数上昇分のみを利益とする。
また、購入手数料や保有コストを無視する。 - パターンAの場合、投資総額は2090万円(5万円×418ヶ月)。
*1 1984年12月以前のNYダウのデータが入手できなかったため、1985年1月を開始とした。
*2 以下の計算には、各指数の値はYahoo Financeの月間データ(NYダウなど)、為替レートはInvesting.comの月間データを参照しました。
それでは、実際にどの程度の収益が得られる(得られた)のか見てみましょう。
1. NYダウの場合
まず、35年間の推移をチャートで見ると下図のように大きく上昇していることがわかります。
おおいに期待ができます。

[パターンA]
毎月5万円ずつ積み立てると、35年間でなんと¥89,677,307(約9千万円!)になっています。
利益率は329%に及びます。すなわち、投資総額の4.29倍の資産となります。
1億円まであと少しです。
[パターンB]
上記の結果から逆算して、35年間で1億円の資産を得るには毎月いくら投資する必要があるか求めることができます。
(資産額は投資額に比例します。)
結果は、毎月55,756円投資すると30年後に1億円達成できていました。
一般のサラリーマンにとっても、この金額は現実的な数字ではないでしょうか。
2. S&P500の場合
まず、35年間の推移をチャートで見ると下図のように大きく上昇していることがわかります。
こちらもおおいに期待ができます。

[パターンA]
毎月5万円ずつ積み立てると、35年間でなんと¥82,518,647(8千万円超!)になっています。
利益率は295%に及びます。すなわち、投資総額の3.95倍の資産となります。
NYダウほどではないものの、こちらもこの時点で1億円まで近づいています。
[パターンB]
上記の結果から逆算して、35年間で1億円の資産を得るには毎月いくら投資する必要があるか求めることができます。
結果は、毎月60,593円投資すると35年後に1億円達成できていました。
NYダウの場合よりは月額5千円ほど高くなりますが、一般のサラリーマンにとっても現実味があります。。
3. 日経平均の場合
まず、35年間の推移をチャートで見ると、残念ながら上昇傾向にありません。
日本経済の停滞期に重なるためですが、これではそもそも利益があるのか心配になります。
はたして利益は得られるのでしょうか。

[パターンA]
毎月5万円ずつ積み立てると、35年間で¥31,567,629になっています。
利益率は51.0%、すなわち、投資総額の1.51倍の資産となります。
意外に利益が出ていますね。
チャートを見ると、2000~2013年頃に低迷しているので、この間に投資した資金が大きく増えています。
実際に、下のグラフを見ると、2013年頃からの日経平均の回復期に資産が急増しています。
ドルコスト平均法の効用ですね。
[パターンB]
上記の結果から逆算して、35年間で1億円の資産を得るには毎月いくら投資する必要があるか求めることができます。
結果は、毎月158,391円投資すると30年後に1億円達成できていました。
これは、一般のサラリーマンには無理な金額です。
まとめ:過去35年間については億万長者になれた可能性は大いにあり。ただし、時間はかかる。
過去35年、NYダウやS&P500に毎月6万円ほど投資していれば、1億円の資産を得ることに成功しました。
これくらいの金額を毎月貯金している人はそんなに珍しくないと思います。
株式投資には夢があることを実感いただけたのではないでしょうか。
また、あまり株式市場の状況がよくなかった日経平均でも、長期間投資すると意外と利益があることもわかりました。
ただし、上記は過去データを元にした分析であり、今後同じようなリターンが得られる保証はありません。
私自身も、アメリカ経済が、今後30年間にわたり過去30年と同様のレベルの成長を果たせるかどうか、やや懐疑的です。
また、どの株価指数が今後もっとも大きく成長するかは、誰も予測できません。
ですから、特定の地域に全資金を投資するのではなく、いくつかの地域の指数に分散したり、世界全体の指数(例:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス)へ投資することを考えることをおススメします。
このあたりの話題については、今後おりを見て解説していきます。
また、投資は自己責任にてお願い致します。
お付き合いいただきありがとうございました。それではまた。
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